高次脳機能障害について知ろう!~半側空間無視~

2019年12月18日

今日は「半側空間無視」について、症状・周囲の関わり方を書いていきたいと思います。(´∪`*)

 

 

健常な人は、左右の空間についてほぼ平等に見渡すことができ、またその空間内にあるものを操作・移動することが出来ます。

 半側空間無視では、この機能が障害されてしまい、左右のどちらかに偏った認識しかできなくなってしまいます。

特に右半球損傷後の、左半側空間無視が多くみられるといわれています。

この半側空間無視で無視される「半側空間」に関しては、本人の身体の真ん中を基準としての左右を問題とすることが多いのですが、

一定の境界が存在するわけではなく、課題やその時の状況によって無視してしまう範囲は変動します。

 

また、広い空間に対する無視だけではなく、「物体中心の無視」という、1つの物体あるいは一定の枠組みを基準とした左側の無視が生じることもあります。

この物体中心の無視に関しては、左半側空間無視のある方であれば、認識しやすいはずの右側の空間に物体が置いてあっても、無視が起こり得るとされています。

(例:左半側空間無視のある患者の正面に、取っ手付きのコップを置く。取っ手を本人から見て右側にくるように置いた時には「取っ手付きのコップ」と答えるが、同じコップを取っ手が左側にくるように置くと「湯呑のようなコップ」と答える。)

 

 

日常生活の中では、食事の時に左側の皿に手を付けない・新聞を読む時に紙面の左側を見落としてしまうため、改行をうまく追って読むことができないといった問題が生じることがあります。

 

歩行では左肩などを扉にぶつけてしまったり、左に曲がるべきところを直進してしまうことで道に迷ってしまうということがあるため、注意が必要です。

 

 

 

 

では、半側空間無視のある方と、どのように関わればよいのでしょうか。

 

 半側空間無視は、本人が自覚していない・無関心なことが多いため、本人にその病識を促すためにリハビリ課題(探索課題や文章を読む、模写・描写をするなど)を通して、

課題遂行中または終了後に片側の見落としを確認していく必要があります。

見落としのフィードバックを繰り返すことが重要となりますが、過度な指摘は本人の訓練意欲を低下させる・ストレスになってしまうことがあるため、注意が必要です。

本人にストレスを与えない程度に、見落としていることを指摘しましょう!

 

 

 半側空間無視の症状が残った場合、日常生活場面で完全に消失することは難しいと言われています。

退院後に行動範囲が広がると、それに応じて新たな危険が生じる可能性も高くなります。

しかし、半側空間無視は慣れた生活空間内(自宅など)では、代償可能となる場合が少なくありません。

本人が過ごしやすいように、よく使うものには目立つように印をつけたり、

本人がよく過ごす場所から見て、気が付きやすい所に物を置くような配慮をしてあげると、

症状がある程度残っていても自宅での生活を快適に過ごせるようになると思います(o˘◡˘o)

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