パーキンソン病の病態とリハビリについて①

2019年10月30日

こんにちは!増田です(´∀`*)

当施設の名称は「脳梗塞リハビリステーション 札幌中央」ではありますが、

対象となる方は脳梗塞に限らず、脳出血やクモ膜下出血も勿論のこと、パーキンソン病や骨折後の方など、

疾患を問わず、リハビリを必要としている方に対応しております。

お問い合わせが多いのは、やはり脳血管疾患の既往歴がある方ですが、

パーキンソン病の方からのお問い合わせも多くあります。

 

なので、今日から2回にわけて、その「パーキンソン病」についてブログを書こうと思います!

今日はパーキンソン病の「病態と非運動症状」について、

次回はパーキンソン病の「運動症状とリハビリ」について記載する予定です(*´∨`*)

 

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パーキンソン病とは、神経伝達物質であるドパミンを作る中脳黒質の神経細胞が減少するために、ドパミンが脳内で不足してしまう慢性進行性神経疾患です。

中高齢での発症が多く、運動障害に加えて、高次脳機能障害や自律神経障害、精神的障害など、様々な障害をもたらします。

症状の進行に伴い、ADL・QOLが低下していくため、リハビリが処方されることが多いのです。

 

 

まず、パーキンソン病の症状ですが、大きく分けて3つに分けられます。

① 運動症状…安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害、歩行障害、異常姿勢

② 自律神経症状…便秘、排尿障害、起立性低血圧、脂漏性皮膚など

③ 精神症状…抑うつ、不安、認知症、睡眠障害

 

パーキンソン病と聞くと、①運動症状(手の震え、すくみ足など)を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は②や③の非運動症状の方が先行することも多いと言われています。

 

今日はまず、その「非運動症状」について書いていきたいと思います♪

自律神経症状に含まれる便秘はパーキンソン病患者の中で特に頻度が高く、病初期から70~80%の患者さんに出現し、非運動症状では最も多い症状の一つです。

もともと、高齢者には便秘になる人が多いといわれていますが、同年代の比較すると、パーキンソン病患者ではその3~4倍も多いのです。

 

他にも、起立性低血圧も症状として出現しやすく、パーキンソン病患者の約20%程度にみられると言われています。

高齢者ほど・罹患期間が長いほど・重症度が高いほどに、起立性低血圧の程度が大きく、進行期のパーキンソン病の方に多い非運動症状なので、注意が必要です。

 

精神症状としては、要素的な認知機能障害が出現するといわれています。

パーキンソン病発症早期の患者さんで、認知症には至っていなくても、単独あるいは複数の認知領域の障害を有することがあります。

特に、「注意セット変換機能」「視空間ワーキングメモリ」「手続き記憶」が比較的早期から低下するといわれています。

 

 

他にも、パーキンソン病患者さんの約60%以上が何らかの睡眠障害を抱えているといわれています。

睡眠障害の原因は多岐にわたっており、疾患自体の影響に起因する睡眠覚醒障害の他、夜間の運動症状やドパミン作動薬による治療の影響など様々です。

この睡眠障害は大きく「睡眠障害」と「覚醒障害」の二つに分かれています。

「睡眠障害」は眠りたくても眠ることが出来ない、いわゆる不眠の状態です。

「覚醒障害」では睡眠発作(眠気などの兆候がないのに突然眠り込んでしまう)や日中過眠(日中の過度な眠気)などが挙げられます。

 

 

最後に余談ですが、パーキンソン病患者さんでは高頻度で「嗅覚障害」が認められるということも研究でわかってきています。

嗅覚障害を主訴とする患者さんは必ずしも多くはないのですが、嗅覚検査を施行すると、匂いの識別障害(何の匂いかわからない)が特徴としてあがるといわれています。

嗅覚低下は発症早期からかなり特異的に出現することが明らかとなってきているため、嗅覚の評価を含める事でパーキンソン病の早期診断の精度を上げる試みがなされているそうです。

 

 

パーキンソン病と聞くと、小刻み歩行やすくみ足といったイメージが強いかもしれませんが、

それ以外の症状も意外と多くあるのです。

少しでもみなさんがパーキンソン病のことを理解するのに参考になれば幸いです!

次回は運動症状と、それに対するリハビリテーションについて書きたいと思います。

更新をお待ちくださいませ(*´꒳`*)